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経理が突然退職したら?

会社にとって、どの社員も大切な戦力。突然の退職は困りますよね。
しかし、労働者の意思による退職は、原則として自由です。退職を、会社が拒むことはできません。特に経理担当者が退職する場合、その業務を引き継げる人材が社内にいないことがほとんどで、慌ててしまう経営者が多いようです。

経理担当者が突然辞めたら困るのは・・・

困ってしまうのは、経理業務がブラックボックスになっているというのが最大の要因かと思います。大体分かっている、大丈夫と思っているかもしれませんが、詳細な作業までは、分かりませんよね・・・。
例えば、以下の問題が考えられます。

◇請求や支払い

いつのタイミングで?どこに請求?
どうやって請求書を作成しているでしょうか?
ネットバンキングのパスワードも変更必須です。

◇給与計算

他の社員のお給料を見せても大丈夫?

◇会計入力

必要な専門知識がある人がいない。
退職の時期によっては、決算が迫っていて大変なことに・・・。

経理担当者の採用

経理を担当していた社員が辞めてしまう場合、まず考える事は後任探しです。経理に空白期間を作る訳にはいきません。担当者から退職の申し出があった時は、後任を探したり、新たに求人を掛けることになるでしょう。
経理担当求人の掛け方には以下の方法があります。
・ハローワーク(正社員、パートアルバイト) ・求人媒体 ・人材派遣 ・人材紹介 

経理経験者は売り手市場です。知識も経験も豊富な人となると、採用のハードルはとても高くなります。経験者でなくてもいいからと、ハードルを下げたとしても、誰でもいいと言うわけにはいきませんよね。
機密事項やお金を扱う仕事です。安心して任せられるでしょうか、人間性も大切です。

経理業務の引継ぎ

奇跡的に、知識も経験も豊富で、人間性も問題のない人が採用できたとしましょう。次は引継の問題です。

一言に経理と言っても、その業務は多岐に渡ります。業界、会社によって、その方法もやっていることも違います。つまり、どの会社の経理も同じではなく、会社が違えば、経理は全く別物と言っていいほどに違います。そのため十分な引継ぎが必要になるはずです。
しかし、退職することがわかるのは、大体退職一ヶ月前が多いです。どんなに頑張って後任を見つけてきたとしても、引き継ぎに使える期間は1~2週間もあれば良い方なのではないでしょうか。

ドサクサに紛れて引き継ぎなしなんて、よくある話です。もう自分の担当じゃなくなると決まった途端、ほとんどの人はその業務に対して情熱を失います。そうなってしまったら、どのような働きかけをしても、やって貰えないものはやって貰えません。だからこそ、会社は引き継ぎのリスクを軽減させるしくみやノウハウを身に着けることが必要です。

また退職・・・

経理担当がコロコロ変わる会社があります。経理の退職理由としてよく聞くものを挙げてみます。

・人間関係への不満
経理は営業や現場などに比べて人数が限られていて、ローテーションや異動などが起こりにくかったり、社内で一緒に居る時間が長かったりということが影響してそうです。

・スキルアップしたい

決算業務に携わりたい等、他の経理スキルを身に付けたいと思った場合、社内では難しく、退職・転職をするという選択になりやすいのが現実です。

・残業が多い、休めない

経理職はどちらかといえば売り手市場です。経理の人材が不足しており、経験やスキルのある人はより良い条件を止めて転職しやすい環境になっています。不満があると、あっという間に辞めて別に会社に行ってしまうなんてこともあり得ます。

経理退職に備えて

では、会社にできる事前の対策はあるのでしょうか?

1、業務フローをオープンにして属人化を改善・効率化を図る

いつ誰が何をどうやっているのか、バックオフィス全体のフローを確認しましょう
個別業務だけでなく全体フローの確認をすることで、ボトルネックになっている業務が見つかったり、改善の必要性や改善策に気付けたりするものです。時間もないし社内では難しいという場合は、プロのコンサルタントに依頼するというのもいいかもしれません。様々な業種や会社の経理改善経験があるので、多様な事例から、自社にとって最適なソリューションを得られる可能性が高いです。

2、日ごろから情報を共有化しておく

情報が属人化しないよう、共有化することが大切です。情報が特定の人に属していると、その人が会社を辞めてしまった時にどこに何があるのかがわからなくなります。こうならないために、紙の資料であれ、オンライン上のファイルであれ、どこに何があるのかを整理し共有化します。非常に基本的な事ですが、担当者任せになってしまいがちです。その担当者が辞めた後では、探そうとしても、もはや見つけ出すことができず、後に残された人達は非常に苦労します。情報の効果的な整理にはコツがありますので、むしろ外部のコンサルタントに入ってもらって、しっかり再設計をした方が良いかもしれません。

3、経理アウトソーシング

記帳、書類確認、業務管理、支払など、多くの業務が一人の経理担当者に集中していると、いつの間にかブラックボックス化しがちです。業務を整理してアウトソーシングできる業務は、外部に出すというのも効果的です。アウトソーシングを利用すれば「ある日突然経理が辞めたら」なんて不安から解放されます

 
この記事を担当した監修者
(株)CWM総合経営研究所 代表取締役社長 杉田 一真
保有資格公認会計士・税理士・中小企業診断士 (税理士登録番号:118535)
専門分野
経歴1979年埼玉県生まれ。公認会計士、税理士、中小企業診断士。 早稲田大学政治経済学部卒業後、公認会計士事務所、大手監査法人を経て2011年、(株)CWM総合経営研究所入社、代表取締役社長。 税理士法人CWM総研代表社員。
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